2012年6月13日水曜日

BGM

昨日は、週初め、かつ雨ということでしたが、沢山のお客様にご来訪いただきました。
ありがとうございます。
なぜか、毎週のように営業日の第一日目はシトシトと雨が降っています。

19時以降は、客足も途絶え、ケーキ担当命じるままに、
試作のチーズケーキと届いたばかりのキャンディーを飲むボウでありました。




このキャンディーは、キャンディーらしいあっさり軽いのみ心地です。
ミルクティーにしてしまったので、写真では分かりにくいですが、
明るい紅色がまたキャンディーらしいです。
アイスティーにしたらキレイでしょう。

普段は、ジャズの女性ボーカルをBGMで流していることが多いボウですが、
雨の日は、バッハのゴルドベルグ組曲に限ります。
雨の音と、しっとりと湿った空気の中で一曲目のアリアを聴くと良いです。

ゴルドベルグ組曲と言えば、「イングリッシュ・ペイシェント」という名作映画の中で、
ジュリエット・ビノシュ扮する看護婦ハナが、イタリアの古い僧院で見つけた
グランドピアノで弾くのがこの曲です。
ピアノは空襲を受け傾いていてます。
ハナもピアノにあわせ傾いた姿勢で弾いていたのが印象に残っています。
傾いていようが、崩れかけていようが、ピアノがあれば弾きたい、
音楽への渇望に共感を感じます。

南イタリアと北アフリカの情景が、現実と回想の中で交錯するこの物語の結びは、
己の罪を許し安らかに天国に旅だって行く主人公(アルマシー伯爵)と、
彼を看取ることで逆に心の癒しを得て、
人生にもう一度向かって行こうとするハナの姿です。

登場人物達がそれぞれの過去に区切りを付け、静かに旅立って行く姿によって、
切なくも救いと爽やかさが残されます。

映画は、明示・暗示的に、物語の方向性や主人公の心情を示すものと思いますが、
やりすぎるとちょっと嫌みになるかもしれません。
この映画の素晴らしい点は、深く計算されつつも一見造作無くみせられる
ぎりぎりのバランスでそれらを表現していると思われる点です。
制作者側が卓越した技巧や、細やかな配慮によって、
意味を込めることによって、1つ1つのシーンが印象的なものになっており、
必ずしも制作者側の意図が分からなくても(実際何度も見返して初めて気付いたりします)感動できる絵画的なシーンが多数残されています。

残念ながら、本映画の監督アンソニー・ミンゲラ氏は2008年に54歳の若さで他界しました。
もっと彼の作る映画を見たかった、悲しく無念です。





2012年6月6日水曜日

マーガレッツホープ農園・ファーストフラッシュ入荷しました

ダージリンのファースト・フラッシュが追加で入荷しました。

「マーガレットホープ農園 ブラック・サンダー FTGFOP 1」:
標高高いダージリン地方では稲妻が近くを走るような情景が見られるに違いありません。本紅茶の茶葉はその稲妻を思わせるような黒々とした、ちょっと荒々しい様相です。
でも、深くこっくりとした味わいです。
飲むとほっと落ち着く親しみやさがあります。

「マーガレットホープ農園 ホワイト・シャイニー・ディライトFTGFOP1」:
今年のファーストフラッシュを20種類程試飲する機会がありましたが、外観、味わいともに、最も心に残るお茶でした。

この紅茶は、とにかく水色が美しいです。
本当に、本当に、薄く明るい色で輝きます。まるで月光を集めたようです。
味わいは、若草の瑞々しさ、果実感がとてもバランスよく纏まっていますが、
それだけでなく凛々しいも言えるような爽やかさが感じられ、それが本紅茶の特色となっている気がします。
たおやかですが、優しすぎるということがありません。
極めて個人的なたとえ恐縮ですが、月光菩薩像を思い出します。
見た目と味わいの相乗効果で、今年一押しのファーストフラッシュです。
少量入荷です。

2012年6月4日月曜日

メゾン・ド・ボウのケーキ達「レモン・ケーキ」

ひたすらケーキのご紹介です。
こちらは「レモン・ケーキ」、ボウの定番中の定番。
バターケーキ生地にレモンの果汁と皮をたっぷり入れて焼き上げています。
レモンの酸味がとても爽やかなケーキです。

フラワー型で焼いていること、レモン果汁のアイシングでコーティングしていることが、
見た目の愛らしさに一役買っているようです。

フォークでケーキを軽く突っついたときに感じられるコツコツという感触も
ちょっと面白いです。

このケーキは、フラワー型の花びら2つ分で1切れとしています。
ケーキ担当曰く、「それが一番可愛く見えるから」。

結果、ワンホール5切れ取りとなっており、結構大きなサイズです。
2人でシェアされるケースもありますが、
ティーポット(カップ3杯分)の紅茶をお飲みになっているうちに、
サクッと召し上がって頂けるのではないかと思っております。

ちなみに私の場合3分で完食です。

このケーキにあう紅茶は、なんといっても・・・名前が長いので改行します。

「ダージリン,キャッスルトン農園,ムーンライト・ダイアナ,セカンドフラッシュ」


ムーンライト・ダイアナの力強い草っぽさ(夏山を上ったときにムンと感じられそうな)が
レモンケーキの爽やかさと微かに残る青っぽさにベストマッチなのです。

ところで、この紅茶、味も、値段もダージリン最高峰と言って差し支えない、
名前に釣り合った見事な紅茶です。
次回はこちらの紅茶について少しご紹介できればと思います。



2012年5月30日水曜日

メゾン・ド・ボウのケーキ達「カシスのバタークリームケーキ」

こちらは、カシスのバタークリームケーキです。

カシスの紅色が鮮やかな、これも少し夏っぽいケーキです。
(秋も冬もお出しすると思いますが。)

チャーミングな断面にフォーカス。背景は愛しいアレカ椰子ちゃんです。
赤と緑の補色関係を狙ってみました。

さて、このケーキは、バター・クリームを使うのでそれなりに濃厚です。
でもカシスの酸味のおかげで濃厚すぎることはありません。

スポンジは、アーモンドプードルを入れてこっくりと仕上げ、バター・クリームの個性とのバランスをとっています。

これを食べると、カシスの甘酸っぱい香りと、バターとアーモンドの芳醇・濃厚な香りが口の中にプワーっと広がります。

このケーキと相性の良い紅茶としては、バタークリームの濃厚さに負けない曲者系で、アールグレイやキームンがまずは思い当たります。

それと、かなりマッチすると思うのが雲南ティーです。
雲南は、こくが極めて強い紅茶ですが、
香りの特徴としては、「スモーキー」を通り越して殆ど「こうばしい」です。
ドーナツなどとあわせても負けないでしょう。
つまり紅茶の中ではコーヒー的な特徴を持っているのかもしれません。

バタークリームはそもそもコーヒーにあうので、雲南はこのケーキにあうと思うのです。



2012年5月25日金曜日

夜の営業

最近、当店の夜のご利用が増えてきました。
夜は、紅茶だけでなく、ワインをメインとしてお酒のご注文を頂くこともございます。
昨日は女性のお客様が2名、窓際の席で、ワインをボトルでご注文。

ご提供したのは、スペインの白ワイン「カルカリ」です。
下の写真では、殆ど何がなんだかわかりませんが・・・



葡萄品種はチャレッロ100%、チャレッロはカバを作るのに使われるそうです。
果実味、ハーブっぽさ、ミネラル感等のバランスがとれたとっても美味しい辛口白ワインです。
魚介との相性が良さそう。

のどごし爽やかで、私など、速攻でグラス3杯くらいいけそうです。
お客様もお気に召して下さったようで、スコーンをおつまみに、気持ちよい飲みっぷり、早々に空けて下さいました。
(その後、目ざとく見つけられた久保田をご注文されました。)

ところで、当店でのワインのご提供は、まだグラスでご提供できる状況ではなく、基本はボトルでのご提供となります。

以前はグラスでもお出ししていたのですが、ボトルを開けるたびのドキドキハラハラ感を快感に思えそうもなく、ボトルでのご提供に絞らせて頂くことと致しました。

「1杯飲めればいいの」、というお客様には本当に申し訳ございません。
そのかわり、美味しいワインを厳選し、なるべくリーズナブルなお値段にてご提供できるように努めております。

グループでご来店下さって、瞬く間にボトル3本程開いてしまうケースなどもございます。

もう1つ、当店のラストオーダー時間は、「その時間に客様がいらっしゃらなければ、お店を閉めてしまう」、という程度の意味合いで、ぎりぎりでも滑り込んで頂ければ、その後も営業は続けてさせて頂いております。


結果として、11時過ぎまで開いてる日もあれば8時には閉まっている日もある、わかりにくいシステムで、すみません。

もし夜のご利用で、ラストオーダー時間を過ぎてしまいそうな場合、事前にお電話一本いれて頂ければ非常に助かります。

お仕事が終わった後に、ちょっと紅茶が飲みたい、あるいはワインをがんがん飲みたい、というときは是非ご利用頂ければと思います。

2012年5月22日火曜日

メゾン・ド・ボウのケーキ達「チェリーのサワークリームパウンドケーキ」

引き続き、ケーキのご紹介です。
こちらは、「チェリーのサワークリームパウンドケーキ」です。
ご覧のように、チェリーがゴロンゴロンと入っております。

パウンドケーキは通常、多くのバターを使いますが、こちらはサワークリームでかなりの部分を代替しております。
だから、パウンドケーキのわりに、食感がとても優しく、軽いのが特徴です。

パウンドケーキを切ったときに登場するチェリーの断面や、その濃い紫色と粉砂糖の白のコントラストが可愛いいです、メルヘンチックです。

さて、このケーキ、ボウの紅茶の品揃えで何が合うかしらと思いめぐらせておりました。
といいますのも、私が通常好む、骨格がしっかりしていて、コクの強い紅茶ですと、ちょっとアンバランスな気がするのです。

と、折よく入荷したダージリンのファーストフラッシュ。
やはり繊細なケーキには繊細なファースト・フラッシュが良いかもしれません。

是非お試しください。






2012年5月17日木曜日

メゾン・ド・ボウのケーキ達「キャロットケーキ」

引き続き、メゾン・ド・ボウのケーキのご紹介。
本日は、キャロットケーキです。



戦時中の物不足の英国で、砂糖のかわり人参を入れて甘味の代替にした、というのがこのケーキの始りだそうです。
由来も見た目も無骨です。

ボウでは今、戦後のケーキよりもちょっぴり豪華に、人参の他にレーズン、胡桃、ココナッツを加えて、クリームチーズのアイシングをトッピングしたレシピでご提供しています。

人参の甘み、胡桃の香ばしさ、ココナッツのさくさくとした食感、クリームチーズの酸味という重層構造。

今時キャロットケーキといえば日本でも珍しくはありませんが、何しろ、人参です。
華やかとは言いがたいケーキなので、お客さまに受け入れて頂けるのか、ちょっと心配でしたが、意外に好評です。

臆せずに挑戦して下さるお客様の食文化の高さに敬服します。