2012年11月30日金曜日

きらきら星変奏曲 by サンソン・フランソワ


なんだか苦悩しているようなこの御方は、
サンソン・フランソワ、偉大なるピアニストです。

長い間、彼が演奏した「きらきら星」を探し続け、
数年前、アマゾンで同曲入りのCD集(9千円)を発見。

きらきら星以外の曲は殆ど全て持っていたので、
躊躇していうるちに歳月が流れ、
最近チェックしたら1万4千円になっていました。
あ〜、あの時買っておけば良かった、あとの祭りです。

し・か・し、今日改めてグーグルで検索したら
ニコニコ動画に彼の「きらきら星」がアップされているではありませんか。

青ざめて(嬉しさのあまり)、
大急ぎでニコニコ動画の会員登録をしなければ、
早くしないとっ、
早くしないとっ、
幻のように消えてしまうに違いない、
焦っているので指の呂律がまわらない、
何度もパスワード入力しなおし。

登録が終わり、やっと再度アクセス、再生ボタンを押すと、
突然表れる「衆議院選挙に関するアンケート協力お願い」のテロップ、
「ぐぬおーっ鬱陶しい」、けどスキップボタンがでてこない。
しかたなく1つ1つ回答し終わると、
憂いに溢れるお写真が再度現れ、


しかし、待てども待てども演奏が始まらない・・・・

まさか、PCが壊れたのか・・・こ、こんなときに・・・

夢にまでみたフランソワの「きらきら星」を目前に控えて・・・




単にもう一度再生ボタンを押さなければならなかっただけでした。

始まるあの有名過ぎる旋律(まさにきらきら星)

音がコロンコロンと転がり弾む輝く真珠のよう。

フランソワ特有の洒脱感とスイング感はありますが、
古典派の曲らしい典雅と品はあくまで保たれている。

シンプルな旋律の1つ1つの音色を見事に変化させ、
緩急を自在に使い分け、そのスイッチというか
間の取り方がかっこいい。

後半からラストにかけて、この人以上に
この「たたみかけるような勢い」を
軽々と弾き切る人はいないだろうと思ってしまうような
見事な「たたみかけっぷり」。

そしてニコニコ動画に向かって「ブラボー!」叫ぶボウ。



フランソワというと大胆華麗にしてデカンダンな演奏と評されます。
音を重ねて潰す手法や(きらきら星ではやってません)、
勢いに溢れても崩れない常人離れした驚異的な技術、
独特のスイング感、とにかく凄い、素晴らしい、天才!

興味ある作曲家についてはとことん練習したけれど、
興味ないものは見向きもしなかったという、
性格的な偏りから派生するのであろう「凄み」が
この人の演奏をこの人の演奏たらしめているのかもしれません。


のだめカンタービレという大人気漫画がありましたが、
のだめの演奏は、多分フランソワの演奏みたいのだったのかなと思っています。

ニコニコ動画の副産物として、
よんきゅっぱーのCDを発見、もう迷いません。
真直ぐ購入に走るボウ。

近いうちにお店に「きらきら星」が流れることは間違いなし。

ところで、そのよんきゅっぱーのCD、
バッハ、ショパン、サンサーンス、スクリャービン、プロコイエフ、その他と
幅広い作曲家をカバーする35枚組、お、お安いですねぇ。

全部聴くのは時間がかかりそう、
しばらくフランソワ三昧になりそうです。







2012年11月26日月曜日

威厳か、栄光か

威厳なのか、栄光なのか、それが問題です。
この数日間、次にリストオンするアッサムの名前を考え続けていました。

アッサムというと親しみやすくて
ミルクをたっぷり入れてガブガブ飲むという印象がありますが、
実は、香り豊で、ストレートが似つかわしいアッサムも沢山あります。
ストレートが好きだけど、ダージリンが苦手な方にはもってこいです。

今度のアッサムはそういうアッサムです。

香りについては、高さというか、縦に広がる奥行き(なんのこっちゃ)を感じます。
視覚的には、天井の高いゴチック様式の大聖堂のようなものが浮かびます。
こういう「一般的でない喩え」はやめれ、と言われますが、ついつい・・・

もう少し一般的に表現すると、格調高く、気品に溢れ、威風堂々とした印象です。

このアッサムに似つかわしい名前は・・・

目指すは、
 ・気が利いていて
 ・分かりやすくて
 ・覚えやすくて
 ・伝票に書きやすい

名前ですが、なかなか思い当たりません。

ロイヤルは平凡、インペリアル(皇帝の)、アンバサダー(大使)
エクセレンシー(閣下)は、大げさか、しっくりこない。

その他、エルガー、キング・リチャード(かなり分かりにくい)、
とか候補が出てきましたが、

今朝になって、ようやく最初に思いついたDignity(威厳)か、
最後に思いついたGlory(栄光)のどちらかで良いのではないかと
思うようになりました。
これを絞り込むために、すでに2ポットのアッサムを飲み干しました。


う〜ん、前者は若干キザな気もするし、
なんとなくわかりやすいのはGloryか。

しかし、Glorious Assam (栄光のアッサム)なのか、
Glory of Assam/Assam's Glory(アッサムの栄光)なのか
まだ問題は残ります。

農園の人でもない、インポーターでもないのに、
アッサムの名付けにこれほど時間をかけて悩む人は
日本のみならずこの地球上を探しても殆どいないでしょう。

どんな暇人かご想像におまかせしますが、
これを最後まで読んで下さった方も、
相当の暇人、いえもとい「有閑な方」(あれ、同じか・・・)かもしれません。



2012年11月22日木曜日

11月25日(日)臨時休業

すっかり寒くなってきました。

さて、11月25日(日)は、臨時休業いたします。
宜しくお願いいたします。

2012年11月19日月曜日

ダンディーな紅茶「ヤマダバリ」

ダージリンのセカンドフラッシュの追加入荷がございました。
サングマ農園ヤマダバリです。

当店のダージリンのリスト、
マーガレッツホープ農園とサングマ農園に偏っています。

というのも今年のマーがレッツホープ農園は、
過去5年間で最高の出来映え、
一方サングマ農園は、近年破竹の勢いで
品質を向上させている成長農園だそうです。

実際、今年の試飲で、思わずはっとするような印象深い紅茶は、
この2つの農園から来るものが多かったです。

さてヤマダバリは、溢れるような花の香りにモルトウィスキーのようなコク、
全体的にどっしりとした重厚感を感じる紅茶に仕上っています。
言うまでもなくサングマ農園らしい「洗練」も感じます。

ファーストフラッシュにあった
「なんだかよくわからないけれどダンディーな感じ」は、
セカンドフラッシュで「モルトウィウスキーのようなコク」に
変化するような、なんらかの要素だったのかもしれません。


2012年11月13日火曜日

洋なしのタルト


本日は、今更の“洋なしのタルト”のご紹介。



お菓子作りを含めて料理において、
良い素材を使えるということは、
何にも勝る援護射撃、
というか、素材選びは1つの勝負どころです。

このタルト、某出版社会長が
「僕、家では“用無し”って言われてるんだ」
と言いながら、差し入れて下さった高級洋なしを使用。
(その高級洋なしはすでにシーズンが過ぎてしまったので
同じタルトは今年はもうできません。)

タルトで、シャビーな果物を使うと、
果物の存在感が希薄で、
タルト皮の重さばかりが目立つ
アンバランスな仕上がりになってしまいます。

が、この洋なしのタルトは、見た目も、食べたときも、
洋なしの存在感がしっかりと感じられます。

香りも味も、甘さはとても優しく、滋味溢れ
瑞々しいけれど決して水っぽくない、
ざらっとしているけれど、豊かな食感。

洋なしの、素の味を活かして素朴に仕上げたら、
初秋らしい、ちょっとノスタルジックな味わいになりました。

来年も、このタルトを作れると良いのですが...



2012年11月8日木曜日

日本美術の至宝

先日は、休暇を利用して上野公園を散策がてら
メトロポリタン美術館を観てきました。

今年は美術展の当たり年。
昨年地震・原発等の影響でキャンセルされた企画が
一気に実現したかのようで、
珠玉の美術展がひきもきらない状況です。

中でもボストン美術館の日本画展は一生忘れられない「体験」でした。

なぜか春の東京展を見損なって、8月の猛暑の中、
友人の車に載せられて、名古屋展を観に行ったボウでした。

体が蒸発してしまいそうな日照りの中、
車中の往復12時間、
美術館滞在時間1.5時間の強行突破、
でも、それだけの価値はあります。

目の当たりにした日本絵画の数々は圧巻のひとことです。
威風堂々の屏風絵から典雅な婦人像の小作品まで、
思わず、「返せ〜」と叫びたくなる傑作・佳作揃い。

こちらは、長谷川等伯の「竜虎図屏風」。








前期名古屋展のクライマックスの1つであり、
ボウのお気に入りでもあります。

おどろおどろしい空気を貫く張りつめた緊張感が良いですね。

このように竜がニョキッと首を出しそうな暗くどろどろとした空模様って
本当にありますよね。

雷が有名な某地方都市に生まれ育ったボウは
(駄洒落ではりません、念のため)
夏の夕暮れ時にその空を幾度となく見た気がします。

それは確かに、人知及ばぬ何かが宿っているような
神秘と畏怖を感じさせるものでした。

「日本美術の至宝」と呼ぶに相応しい名画の数々を観ていると、
このように素晴らしい絵画・素晴らしい才能が
自分の国にあったものかと、胸が一杯になります。

ソフト面が弱いと思われる日本の美術館事情を考えると
なんとも惜しい、国外に流出した事情を考慮しても
本当に返して欲しい。

名古屋の後は、北九州、大阪を回りボストンに戻るようです。

まだご覧になっておらず、行こうかどうか迷っている方は、
是非、是非観に行って欲しいものです。

ボストンは遠く、飛行機代が高いです。





コーヒークリームと胡桃のケーキ


さて、先日散策した上野公園の紅葉がとても奇麗だったので、
今日も、秋の季節ものをご紹介。



こちらは、「コーヒークリームと胡桃のケーキ」です。
特性のコーヒー・バター・クリームとクラッシュした胡桃を、
コーヒー・スポンジケーキで2回サンド、
最後にたっぷりの胡桃をトッピング。

このケーキは、スポンジが三段重ねなので
少し高さがあります。

フォークで「よいしょ」とカットして、
口に運ぶとコーヒーと胡桃の香りにふわっと包まれ、
口溶けの良いバタークリームと、胡桃のサクサクとした歯触りが好対照です。


紅茶は、曲者同士の組み合わせということで、
キームン(スモーキー)やシノワブレンド(香ばしい)がお薦めです。
どっしりとしたダージリンがあれば、それも良いでしょう。